はじめての無線LANルータの「DD-WRT」化
以前からネットワークの学習希望されているお客様向けに無線LANルータを1つ用意しようと思っていたんですが、できれば学習用機器への出費は抑えたいもの。
そう思っていたところに(以前このブログの2011/7/17に関連記載のある)Mさん宅に、無線LAN通信が途切れて不安定で眠っているバッファローの「WHR-HP-G300N」を思い出す。(゜o゜)
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Mさんに「もしご不要でしたら、こちらで再利用させて頂けませんか?」と相談してみたところ「是非どうぞ。」の2つ返事で快諾。(^^♪
元々受講者さま用の学習機を想定しており(無線LAN機能使えなくても)有線LANが利用できればOKと思っていたのですが・・・・ふと「"DD-WRT"にすれば、もしかしたら!」とひらめく!(◎o◎)!
そんなわけで今回は、「DD-WRT」がらみの話を長々と記載。
(このブログをご閲覧頂いている方々の多くは「DD-WRT」をご存知だと思いますが、)「"DD-WRT"って何?」っていう方のために私なりの好き勝手な前振り説明を。
「DD-WRT」は無償で利用できる組み込み機器向けLinuxディストリビューションの1つで、Linuxですが無線LANルータ機能の提供に特化しています。
(同様なものとして「Open-WRT」があるのですが、こちらは平たくいうと「DD-WRT」のCUI版という感じ。設定等はCUIがベースなので利用するにはそれなりのスキルが必要で少々敷居が高いものの、処理が軽快でリソースに限りがある組み込み機器においては有効です。)
具体的に「DD-WRT」のファームウェアに入れ替えるとどうなるかというと多機能なルータに大変身。
一般的なコンシューマー向け無線LANルーターには搭載していないような機能を思いつく限り列挙してみると、
- WPA2 Enterpriseに対応(もちろんWPA2-PSKもOK)
- マルチSSID
- WDS
- VPN(PPTPサーバー/クライアント)
- SSHサーバー
- VLAN
- QoS
- Wake On LAN
- SNMP エージェント
- Syslog 送受信サービス
- フィルタリング(URLやキーワードによる)
- 設定で無線LANコンバータとしての利用可
- ホットスポットサービス
などなど。
(細かくみればもっとあると思いますが、)ネットワーク技術の基本を学習するには十分な機能を有しています。
バッファローは「DD-WRT」と密接な関係にあるようで、(ネットワークマガジン 2008年5月号のP100によると)バッファローの無線LANルータの多くは「DD-WRT」開発グループとのライセンス契約の元に作っているような記載がありました。
---2012年8月追記---
ちなみにDD-WRTをサポートを謳っているアスースの無線LANルータがAmazonで(2012/6/20から)取り扱われるようになっていた!\(◎o◎)/!
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「DD-WRT」に入れ替え操作の話の前に、ブロードバンドルータの大まかな構造を図で確認するとしましょう。大体は以下のような感じです。
(ネットワークマガジンの2004年7月号 P163 参照)
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図だと分かりやすいと思うのですが、「DD-WRT」化というのは大雑把に言うとフラッシュメモリ(パソコンでいうところのHDD。)に格納されている既存のファームウェアを丸ごと入れ替えて別物にしてしまうこと。
(パソコンを例にするとWindowsからLinuxにOSを差し替えるとイメージしてもらえばわかりやすい?)
「DD-WRT」化に伴い以下のようなご注意ごと?が発生します。
- メーカーサポートはまったく受けられなくなる。
(ネットなどで情報を自分で集めて、あくまでも自己解決が前提) - 「DD-WRT」によるファームウェアの書き換え行為は、無線機器の改造にあたる可能性があって日本の法律においてはグレーゾーンな状態。
(特に電波出力は重要で、デフォルトの20dBmから10dBmに変更しないと電波法に引っかかるようです。) - ファームウェアの書き込みに失敗すると2度と使用出来なくなる可能性大です。
(私、昔FONのルータで書き込みを失敗して一台オシャカにしています。(T_T))
そんなわけで「DD-WRT」化は自己責任が伴いますのであしからず。
対応している機種ごとに個別の「DD-WRT」ファームウェアが提供されています。「DD-WRT」の"ルーターデーターベース"から該当の機種を入力してファームウェアをダウンロード。
通常はTFTPサーバーを用意してファームを送り込んでという少々手間のかかる作業になるのですが、今回の「WHR-HP-G300N」に関しては、通常のファームウェアの更新作業と同様な手順で入れ替えが出来ちゃいますのでちょ~簡単。(^^♪
「DD-WRT」のファームウェアに入れ替わるとIPアドレスが、192.168.11.1から192.168.1.1に変わり、DHCPで配布されるIPアドレスは192.168.1.107と中途半端な数から始まります。
で、即設定の変更をしなくてはならないのが、電波出力の変更。
日経Linux 2008年10月号 P51によると
前略---何よりも重要なのが、無線出力の調整である。日本国内では、特別な条件でなければ無線LAN機器の最大出力は10ミリW(10dBm)以下と定められている。
ところがDD-WRTはこれを超える出力、例えば100ミリW(20dBm)などに設定している。速やかに設定値を下げる必要がある。---以下省略
とのことです。
「DD-WRT」化してしまえば設定は、一般的な無線LANルータ同様ブラウザーで可能ですし、日本語表示に変更することが可能なので操作そのものは簡単。
(ただ非常に多機能なので設定できる項目及びネットワーク用語連呼状態。ベースになる知識がある程度ないと何をどうすればいいのかが、さっぱり?だとは思います。)
「日経Linux」 2008年10月号にはDD-WRTの導入から無線LANルータや無線LANコンバータにする設定まで結構詳しく掲載されています。
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---2013/3/22追記---
「日経Linux」 2013年4月号のP95~98には、バッファローの「WHR-G301N/N」を使ってDD-WRTにする記載が割と詳しく記載されています。
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こうして「DD-WRT」として生まれ変わった「WHR-HP-G300N」。
元々Mさん宅において、無線LAN通信が不安定で他の機種に変更にしてお蔵入りになった製品なので、無線通信の安定度は気になるところ。
テストとして(無線LANコンバータとして利用するために設定を変更して)約3日間ほど連続稼動させてみたのですが、無線LAN通信が途切れることはなく(P-ぽけっとの環境では)問題なし。生き返ったと言っていいでしょう。( ̄ー+ ̄)
個人的に「DD-WRT」で実現したいことがあるので次回にでも記載してみようと思います。
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